2014年11月05日

栄養失調恐怖症の方へ

1 治療の基本と栄養失調恐怖症
 逆流性食道炎の方は、食道や胃が捻挫した状態にあります。この状態で健康な人と同じ量を食べるのは、捻挫した足に湿布を貼ってマラソンを走るようなもの。かえって胃を壊して、より消化できなくなってしまいます。
なので、しばらく胃を休ませてあげる事が大事です。そのため、しばらく胃に負担が強い食べ物を食べない事が治療の基本になります。
 しかし、栄養失調恐怖症に陥っていて、「栄養を取る為に胃の負担が高い物を食べてしまい、胃が荒れて、その結果吸収率が下がって栄養失調になる」というループにはまってしまい、その休養ができない方がおられます。
 
2 対策
(1)専門医のサポート
 特に、鬱病等の精神疾患を併発している場合や、神経過敏症等の場合には、このループにはまりやすいようです。
自分で自制できないくらい過敏に反応してしまう場合や、他の人に比べて異常に恐怖を感じる場合は、精神疾患の併発や神経過敏症の可能性があります。
 その場合、自力で脱出することは困難なので、松原先生と精神科に行ってサポートを受けて下さい。
周囲の協力、特に専門医の協力は必須です。

(2)客観的分析
 また、精神的に辛い時は、感情と感覚に流されるのではなく、信頼できる客観的データを分析して乗り切ることも大切です。

 その際の客観的データとして一番お勧めなのは、血液検査と体調です。
特に、栄養状態については、血液検査等の検査をすることをお勧めします。
必要な栄養量は個人差が大きいため、血液検査をしないと正確な事は分かりません。

 一日に必要な栄養素を示す栄養学というものもありますが、これは注意が必要です。
そもそも、栄養学は統計値で算出されているものが多く、個人差が考慮できません。また栄養学は元々は西洋人をベースにして定立された学問なので、日本人にはそのまま当てはめると不整合を起こすこともあります(例えば、日本人には牛乳を消化する酵素がない人が多い、アメリカ人のSサイズは日本人のLサイズなど、西洋人と日本人の差異があります)。
 胃が健康な人を基準にして作られた栄養学で勧められる食事量を、逆流性食道炎の方がそのまま食べると、胃を悪くして吸収率が低下し、かえって栄養失調になってしまうこともあります。
 私の親は栄養学を元に算出した栄養価が含まれた食事作り、きちんと食べる様に私を教育しました。子どもの為を思いしてくれたことではあるのですが、残念な事に私にはその量が多すぎて、逆流性食道炎になり、今に至ります。
病気が分かった後も、親は「栄養を採らないと行けない」という思いが強すぎて、私のお粥にちょこちょこっと出汁を入れたりして、それが原因で体調を悪化させた事もあります。良かれと思ってしてくれたことですが、その時の私の体調には合っていませんでした(それ以降は回復してお出汁は平気になりましたよ)。
 この様に、栄養学だけを信頼することは、かえって逆流性食道炎を悪化させる原因にもなるので、一定の距離感が必要です。

統計的栄養学よりは、今の自分の体調を見る、と言う事が一番大事です。
 
 なお、それ以降は、私は自分の食事は自分で作って、何を食べるか食べないかも自己責任で管理しています。
「なにを食べたらどういう症状が出た」という小さい変化は、自分が一番気付きやすいからです。
そして、風邪等の時でどうしても家族に頼らないといけない場合には、「今の体調だと、これはまだ無理であと3ヶ月は食べられない。でも、これは大丈夫。」ときちんと説明した上で協力をお願いするようにしています。
期間がついている事、代替品があることで、栄養失調が心配な家族も多少理解してくれて、協力してくれるようになりました。
また、まめに血液検査を受けて、それを定期的に見せているので安心したのだとも思います。
これは、栄養失調恐怖症の方が自分の中の恐怖心と付き合う方法にも共通すると思います。

 以上より、一番大切なのは、栄養学よりは、ご自分の今の体調や、ご自分の血液検査のを見て判断する方が良いと言う事です。その方が正確かつ適格にご自分の状況を把握できます。

(3)調理方法の工夫
 栄養失調恐怖症のループにはまっておられる方に、「胃を休める為に胃の負担の高い食べ物をしばらく止めてみて」というアドバイスをしても、栄養失調の恐怖から、それが出来ません。
中には、「食べるな」と言われることにより、逆にさらに食べてしまう方もおられます。
でも、実際には、そういう方が一番苦しんでおられるんですよね。だから、そういう方こそ何とかして助けたいです。

 そういう場合には、無理してリバウンドするよりは、自分が無理なく継続できる範囲で、調理方法等を工夫するという方法が合っているのではないでしょうか。
 例えば、加熱する、ミキサーにかける、濃度を薄める、といった調理方法の工夫等です。
 また、うどんなどの麺類(胃の負担大)をおかゆ(胃の負担小)にかえるなども有効です。栄養価的にはおかゆもうどんも大差ないのに、消化スピードはお粥の方が早いので。
同様に、乳製品(胃の負担大)を高野豆腐やエンドウ豆(胃の負担小)に代えて、胃を痛めずにカルシウムを採るなどの方法もお勧めです。
 胃の負担が小さい食材・調理方法に代える方が、吸収率もアップするので、栄養状態は良くなりますよ。
 胃の負担を押さえつつ栄養を取れる100個以上のレシピを紹介しております。アレンジのコツも紹介しておりますので、ご自分の体質に合わせたアレンジも可能です。一度ご参照下さい。
 こうした工夫でも、胃痛・疲労感等は取れて、体調は大分回復します。
なので、上記調理方法の工夫と素材選定の工夫を一度御試し下さい。

 また、ご自分でも、新しく貴方にあったレシピを開発して見て下さい。
 そして、他の患者さんも助かるので、それをブログやクックパッドで公開してください。
 レシピを開発する際には何回か失敗したり食べて体調が悪くなる事もあります。
ですが、それも重要な知見です。「どれくらいのPSでどういう体調の時に、なにを食べてどんな症状が出たか」、という情報も是非公開して欲しいです。
失敗は、成功の元なんです。後は解決策を考えるだけだからです。 
逆にブログのコメント欄で他の方から「こうすれば治ったよ」と解決策のアドバイスがもらえることもあるかもしれません。ご自分で解決策を見つけたらそれを公開して下さい。
そうした情報共有によって、「PS○の時は〜は駄目だけど、こう言う工夫をしたら大丈夫だったんだ。若しくはPS〜まで回復を待てば、症状が出なくなるんだ。だから今辛くても頑張ろう。」と思える患者さんも出て来ます。
情報共有によって、患者さん同士助け合えると良いですね。

 栄養失調の恐怖と食欲も、前向きに使い、適正に制御できれば、他の患者さんを助ける原動力にもなるし、お互いの治療も進むかと思います。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。